時計の狂った冷凍睡眠

愛、罪、信仰、芸術、革命

【詩】深海の底

 

 

俺が救える人間も、俺を救える人間も、誰一人いなかった。この世界には神も仏も人間も誰もいなかった。家族だけがいた。苦しんだだけで何もなかった。生まれてきた意味とかなかった。赤字国債だけで生きて死んでいくだけで、何もなかった。使命のない人はいないって言ってもらえなかった。執着じみた愛にだけ縋っていた。愛し続けた。何も手に入るものはなかった。優しさを侮蔑で返す蛆虫以下の人間に優しくしてしまった。すり減ってしまった。独りの食事と夜と誕生日が多過ぎた。美しさを奪われた。いつまで苦しみ続ければ良いのか。いつまで耐え続ければ良いのか。いつまで、いつまで、いつまでこんなにすり減れば、いつまで。誰もいない、誰も。母は母で居続けてくれた。両親が死んだら俺は。先生が元の先生だと思えない。世間が真実を歪めて裏切っていく。望みは叶わない。望む事は許されない。周囲が歪めていく。私しか本当の事を知らない。大事な人以外全員死んで欲しい。裏切り者と罵倒して正当性を有するのは権力のある者だけだ。どうしてこんな暗い世界に閉じ込められているんだ。他人は信じられない。どうせ裏切るだけだ。TikTokでちょっと踊ってチヤホヤされる学生が馬鹿みたい。いいねの数だけ誰かに認められて、承認欲求を満たされる。インターネットで誰とでもどこでも簡単に繋がれる時代に、水平線しか見えない広い海の真ん中で遭難している私は、もうとっくに飢えてガブガブ海水を飲んでいる。誰も助けてくれない。私には昆虫ほどにも命がない。煙草とポルノだけ摂取して、燃殻と排泄物に塗れて死んでいくだけの人生だった。思い出が消えていく。さよならだけが人生なのに、誰もいなかった私はさよならを言う相手もいないで死んでいく。全員最期は死んで無になるだけなのに、足掻いたり、作り笑いをしたり、幸せにもなれないくせに、死に対して失礼だ。ちゃんと死んで欲しい。つまりちゃんと生きて欲しい。私にちゃんと生きて欲しい。どれだけ頑張って生きてもいつも何かが足りない足りないと言われて、いつも何かが足りないんだと思って、頑張って、頑張って、どこまで行っても祝福なんかされない。世界は卑怯だ。世界で一番戦った人間に、凱旋の花吹雪のパレードは用意されなかった。私が幸せになれないなら、世界に幸せなんて一つも存在しない。幻影なんだ。私のために泣いてくれた人は絶望した。信じ続ける事は放棄された。一本の煙草で20分寿命が縮むから、自殺する権利すら保有しない私は、深夜の深海の底で独りで煙草を貪り食い続けている。